2016年10月12日水曜日

10月12日 電通の女性新入社員過労死自殺、労災と認定の記事から考える

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。

10月12日 電通の女性新入社員過労死自殺、労災と認定の記事から考える

10月12日水曜日。最近、ネットでも大きな話題となっている過労死に関する記事について書きたいと思います。

※朝日新聞より引用

電通の女性新入社員自殺、労災と認定 残業月105時間
朝日新聞デジタル 10月7日(金)21時50分配信
 広告大手の電通に勤務していた女性新入社員(当時24)が昨年末に自殺したのは、長時間の過重労働が原因だったとして労災が認められた。遺族と代理人弁護士が7日、記者会見して明らかにした。電通では1991年にも入社2年目の男性社員が長時間労働が原因で自殺し、遺族が起こした裁判で最高裁が会社側の責任を認定過労自殺で会社の責任を認める司法判断の流れをつくった。その電通で、若手社員の過労自殺が繰り返された。

 亡くなったのは、入社1年目だった高橋まつりさん。三田労働基準監督署(東京)が労災認定した。認定は9月30日付。

 高橋さんは東大文学部を卒業後、昨年4月に電通に入社。インターネット広告を担当するデジタル・アカウント部に配属された。代理人弁護士によると、10月以降に業務が大幅に増え、労基署が認定した高橋さんの1カ月(10月9日~11月7日)の時間外労働約105時間にのぼった。

 高橋さんは昨年12月25日、住んでいた都内の電通の女子寮で自殺。その前から、SNSで「死にたい」などのメッセージを同僚・友人らに送っていた。三田労基署は「仕事量が著しく増加し、時間外労働も大幅に増える状況になった」と認定し、心理的負荷による精神障害過労自殺に至ったと結論づけた。

 電通は先月、インターネット広告業務で不正な取引があり、広告主に代金の過大請求を繰り返していたと発表した。担当部署が恒常的な人手不足に陥っていたと説明し、「現場を理解して人員配置すべきだった」として経営に責任があるとしていた。高橋さんが所属していたのも、ネット広告業務を扱う部署だった。

 電通は00年の最高裁判決以降、社員の出退勤時間の管理を徹底するなどとしていたが、過労自殺再発を防げなかった。代理人弁護士によると、電通は労基署に届け出た時間外労働の上限を超えないように、「勤務状況報告書」を作成するよう社員に指導していたという。電通は「社員の自殺については厳粛に受け止めている。労災認定については内容を把握していないので、コメントは差し控える」としている。(千葉卓朗)

※引用終わり。

この記事を読んで思ったのは、過去の失敗・過ちをもとに、学習・改善しなかった挙句、今回のような過労死が再発してしまったと私は思ってしまいます。記事にも書いてる通り、私を含む社労士の場合、平成12年に最高裁で判決のでた電通事件(最二小判平12.3.24 民集54-3-1155、労判779-13)を思い出してしまいます。概要は、下記のとおりです。

※ウィキペディアより引用
1991年8月、電通に入社して2年目の男性社員が、自宅で自殺した。男性社員の1ヶ月あたりの残業時間は147時間にも及んだとされる。遺族は、会社に強いられた長時間労働により鬱病を発生したことが原因であるとして、会社に損害賠償請求を起こした。これは、過労に対する安全配慮義務を求めた最初の事例とされ、この訴訟をきっかけとして過労死を理由にした企業への損害賠償請求が繰り返されるようになったといわれる。2000年、この裁判は同社が遺族に1億6800万円賠償金を支払うことで結審した。

※引用終わり。

上記のような事件が起こり、早期解決せずに最高裁まで争った挙句、マスコミにも大きく報道され、高額な損害賠償金を払ったという企業としてはお粗末な対応をされています。このような過ちから学びを得て改善するのが、法令遵守が重要な大企業なら「当たり前」だと私は思います。

しかし電通の場合は、今回の記事から表向き・上辺だけ「法令遵守」のフリをしてして、実態は全く改善されなかったと思えてなりません。今回、自殺された女性社員のtwitterがネット上でありましたが、私には追い込まれた挙句の「悲痛な叫び」に思えてなりません。。。

企業が労働トラブル等で訴訟労働基準監督署の調査→書類送検等となった場合、私の過去の経験上、下記の2種類の対応に分かれると思います。

・今回の失敗・過ちを教訓に、「今後どうすべきか?」をもとに就業規則・賃金制度・人事制度・組織体制等労務管理等改善・見直しを行う。

表向きだけ法令順守の対応をし、実態は「従来通り」の対応をする。従業員にはかん口令が敷かれる。いわゆるアングラ化

いずれかの対応をしてるように私は思います。今回の電通の場合は、後者の対応をしてたのでは?と私は思ってしまいます。。。

今回の記事をもとに、大きな反面教師として、会社として下記の対応を今後お薦めします。

・過重労働による自殺等労災死亡事故発生時のご遺族への初期対応(労災申請するか否かの遺族との協議・謝罪・慰謝料、逸失利益等社内話し合いによる和解)。

過重労働等による自殺再発防止における改善案作成:就業規則等規程見直し、社内相談窓口等社内解決制度創設。

・再発防止策策定後に伴う、改善行動計画実施(期限を決めて行動)

上乗せ労災加入


今回の大きな問題点(失敗)から、まずは早期解決、解決後は改善点をみつけ、改善すべくコツコツ行動していく必要があると思います。

※写真は今日の夕食で、自家製ちゃんぽん・自家製餃子です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
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ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。








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