2017年6月28日水曜日

6月28日 低所得にあえぐ40代が急増中の記事から考えること

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
6月28日 低所得にあえぐ40代が急増中の記事から考えること

6月28日水曜日。今日は低所得の40代労働者に関する気になる記事がありました。

※日刊SPAより引用

42歳・アルバイトで年収234万円、一度も正社員経験のない男性の未来は…

2017年6月23日 8時54分 日刊SPA!

 40代ともなれば給料も上がり、若い頃よりも楽できると思っていたのに。そう嘆く声は多い。昨今、低所得にあえぐ40代が急増中だ。その理由は出世できない、転職回数が多いなどさまざま。中年でも稼げない時代が来ている――

◆大学時代の就活失敗がきっかけで、以来20年間一度も正社員になれず
…伊藤隆行さん(42歳・独身)/食品工場/年収234万円

「同じ低所得でも正社員の人は、私より恵まれているのに不平不満を口にする方が多いと思います」

 そう憤るのは、食品工場でアルバイトとして働く伊藤隆行さん(仮名・42歳・独身)。実は、大卒ながら20年間、正社員として働いた経験がまったくないという。

「大学時代の就活は、’90年代末の就職氷河期と被ったことで失敗。仕方なく派遣社員として働き始めましたが、20代後半のとき、このままではマズいと思い正社員で働ける仕事を探したんです。それである飲食チェーンに採用されたのですが、配属先の店舗ではミスを連発してしまい、試用期間の3か月でまさかの採用見送り。その後もリフォーム会社に採用されたこともあったのですが、ここでは高ノルマに連日の深夜残業、上司のパワハラに耐えかねて試用期間2か月目で自分から退社。以降は仮採用すらされることもなかったので転職活動を諦め、再び派遣社員として働いていました」

 ところが、40歳になると、「紹介できる仕事がない」と派遣社員としての仕事も失ってしまう。ここでも正社員目指して転職活動を行うが年齢と正社員経験のなさがネックとなり、書類選考すら突破できなかったという。

「結局、今も同じ非正規雇用ですが、身分はアルバイトとさらに落ちてしまいました。年収は残業や休日出勤を積極的にこなしていますが派遣社員時代以下の240万円稼ぐのがやっと。けど、会社の経営状態が悪いらしく、今の食品工場の仕事すら失う可能性もあります。老後のことを考えると不安しかなく、それ以前に老後まで生活を維持できるかどうか……」

※引用終わり。

私自身、この記事を読んで、社労士になる前の失業・転職時代を思い出しました。私の場合、大学卒業後、東証一部上場会社に入社し約10年働いた後、社労士受験とクレーム処理の重圧、転勤で駐在期間不明の沖縄在住に不安を感じ、地元福岡の中小企業に民間職業紹介会社を介して転職しました。

私自身、中小企業転職後は学歴は全く通用せず、職歴、実績と実務経験が重要視されることを肌身で実感しました。逆に中小企業では、大卒であることに「ヒガミ」とも思われるいじめ(パワハラ)も経験しました。また出身大学の「やっかみ」等に伴う「嫌がらせ(パワハラ)」もあったのを思い出します。

私自身、社労士となるまでに3~4社ほど転職しましたが、収入は最初の会社より激減したのを思い出します。また私自身、営業職の経験しか無く、社労士になるまで「実務」に使える資格・技能を身に着けていなかったのが致命傷でした。記事のような悲劇は、他人事ではないと私は改めて実感しました。

この記事や私自身の度重なる失敗経験をもとに、現在学生の方や転職を考えている方等に下記のような教訓を書いてみたいと思います。

学歴は、原則最初に入社する会社しか通用しない。

・会社在職中に、目的も無く・漫然と働くのではなく、一生飯が食えるスキル(技能・技術)・資格・実績を身に着けながら働くことをオススメします。

・高校・大学・短大・専門学校以降は、「将来、何の仕事をしたいか?」を考えて、仕事に役立つ資格・技能が学べる学校選びをオススメします。

・自分がしたくて、楽しく、一生飯が食える資格・スキル(技能・技術)を身につけ、日々鍛錬する事をオススメします。

・個人的には、すぐに「楽して」たくさん稼げる仕事より、「楽しく」長く継続的に稼げる仕事ができる職種をオススメします。

・転職時には、会社が欲しがるような技能・技術・資格・経験があるか?を見極め、会社に売り込むことをオススメします。

以上のような点が、私の「主観」で考えている教訓です。少しでも、今後、就職・転職を考えている方に参考となれば幸いです。


※写真は今日の夕食で、お好み焼き・麻婆豆腐・白菜の胡麻和え・とうもろこしご飯等です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。









2017年6月24日土曜日

6月24日 採用における深掘り式面接方法について

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
6月24日 採用における深掘り式面接方法について

6月24日土曜日。今日は土曜日ですが、顧問先訪問でした。私自身、採用について力を入れており、特に面接の仕方には「こだわり」があります。

労働トラブルを起こす会社の共通点は、「面接10分」・「面接回数1回」・「労働条件が合ってるか否か?」だったりします。表面的な面接では、本当に自分の会社に合った人材か否か?はわかりません。本当に自分の会社に合った人材か否か?を見極めるには、深く突っ込んだ面接が必要だと私は思っています。

私自身、面接官をするときには、「通常の」面接ではあり得ない質問の仕方をします。私の場合、面接での最初の質問は、「好きな食べ物なんですか?」だったりします。しかし、それに対する「返答」で私は終わりません。具体的には、下記のような面接の仕方をしています。

私(面接官)「好きな食べ物はなんですか?」
受験者「ラーメンです。」
私「どんなラーメンが好きですか?」
受験者「豚骨ラーメンです。」
私「どこのラーメン屋さんが好きですか?」
受験者「大砲ラーメンです」
私「大砲ラーメンで、好きなメニューは何ですか?」
受験者「昔ラーメンです。」
私「昔ラーメンを食べるときに、何か入れますか?」
受験者「紅生姜を必ず入れます。」

こんな感じで、質問→返答→返答の内容から質問→返答→返答の内容から更に質問を繰り返します。これを私は、「深掘り式面接方法」と名付けています。このような深掘りした質問を繰り返していくと、受験者の考え方・思考パターン・行動パターンが見えてきます。また、返答時の表情・口調等も見極める重要なポイントになります。

このような「深掘り式面接方法」だと、面接ノウハウ本等付け焼刃の受け答えでは矛盾が生じてしまい、対応できなくなります。いわゆる受験生である労働者が、本音を回答せざるを得なくなり、会社に合った人材か否か判断しやすくなります。

なお人手不足が深刻な業界や緊急で人材が必要な顧問先から、「面接受験者がかわいそう」「優しく面接して欲しい」等のコメントを何度か頂いたことがあります。しかし中途半端な妥協や優しさは、問題社員を雇用したり、労働トラブルになりかねないと私は思います。なお面接時の質問は、出来る限り「やさしく」質問しています。

また、このような「深堀り式面接方法」で採用すると、面接時に深くやり取りしているため、既に親近感が出来ており、入社後も円滑に溶け込んでいる事例を私自身、多く経験しています。私は、この「深掘り式の面接方法」こだわりを持っており、今後も改善しながら続けていきたいと思います。


※写真は昨日の夕食で、キーマカレー・鰺のフライ・マカロニサラダ・味噌汁です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。








2017年6月22日木曜日

6月22日 採用における面接の大切さ

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
6月22日 採用における面接の大切さ

6月22日木曜日。昨日、顧問先にて面接官として面接立会を行いました。私自身、社労士として採用に関しては、人手不足が慢性化した現在、積極的に対応するようにしています。

現在の日本における労働法は、採用後の「解雇」が非常に難しいのが現状です。採用後は簡単に辞めさせられないのが現状なので、なあなあ・いいかげんな採用は、中小企業にとって命取りになりかねません。

中小企業にとって、採用は非常に重要です。採用後の労働トラブルは、労使間ともども大きなダメージ(支障)となり、本業にも大きな支障になりかねません。なお労働トラブルは、労使間における考えの相違・不一致による点も大きいと私は思います。

私自身、労働基準監督署や県社労士会の労働相談員をしていた頃、労働相談における労働者に面接回数・面接時間・面接内容について質問したことがあります。質問の答えから、労働トラブルを起こす会社の共通点は、下記のとおりだと私は思いました。

1 面接時間:10分
2 面接回数:1回
3 面接内容:労働時間・出勤日数等労働条件が合うか否か?会社の自慢話のみである。

以上の共通点は、今後の採用における面接の仕方で非常に参考になると思います。面接10分・面接回数1回・労働条件だけの面接で、面接受験者の人柄・性格・会社の考えや企業理念に合った人材か否か?等判断できるでしょうか?

私自身、顧問先の採用試験において面接官として対応する時は、「会社の企業理念・会社の考え・社長の考え」に合った人材か否か?を中心に、「深く」質問しています。特に深く・突っ込んで質問することにより、会社に合った人材か否か判断しやすくなると思います。

今後も私自身、採用においては面接官として、顧問先の事業継続・発展のお手伝いをしていきたいと思います。


※写真は昨日の夕食で、キーマカレー・鶏天等です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。









2017年6月18日日曜日

6月18日 社労士として、評論家ではなく実務家として対応する事

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
6月18日 社労士として、評論家ではなく実務家として対応する事

6月18日日曜日。週末は労働保険料年度更新作業をしながら、実務家と評論家の違いを考えていました。

日常、テレビのニュースやワイドショー等で評論家なる人物が多数出演し、「ありがたい」コメントを多くされています。今まで有名な評論家だった人で、実務家をしたことがある人がいたかと考えてみると、前東京都知事時だった舛添要一氏を思い出しました。

舛添要一氏の場合、東京大学法学部第3類(政治コース)卒業後、政治学者として活躍し、テレビで評論家として出演していたのを覚えています。その後、国会議員となり東京都知事と政治家として「活躍」されましたが、結果的に政治資金使途の公私混同報道不祥事・不評が重なった挙句、東京都知事を辞職されました。

個人的には、舛添要一氏の事例を見ても、評論家実務家は全く違うと実感します。舛添要一氏の場合、政治学者でありながら政治家としてはお粗末だったと私は思います。評論家の言うとおりにすれば「上手くいくのか?」と言えば、参考にはなりますが「違う」と思います。評論家の場合、専門知識に長けているとは思いますが、現場の実情や現場の要望を理解していない場合が多いと思います。

私を含む社会保険労務士は、実務家だと思います。社労士の場合、顧問先である中小企業の経営者・人事担当等の手続きや相談対応が多いのが実情です。相談内容は、緊急を要する場合やはっきりした回答を求められる場合があります。

そのような質問に対して、長たらしい講釈や評論めいた回答は求められておらず、わかりやすく・使える回答を求められる場合が多いです。求められる回答について、「良い」「悪い」より「使える」「使えない」で判断される比重が高いのが実情だと思います。

社労士の場合、専門知識を「高尚な知識」の様に扱って、「評論家」のような対応をしては意味が無いと思います。専門知識を有効に使って解決するのが実務家の仕事だと思います。これは、社労士に限らずビジネス(仕事の世界)も同じだと思うこの頃です。今後も社労士として、評論家的な対応をせず、法令遵守を前提とした実務家としての対応をしていきたいと思います。


※写真は昨日の夕食で、自家製ゴーヤチャンプルー・豚肉玉ねぎ炒め・茄子の味噌汁等です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。









2017年6月13日火曜日

6月13日 求人詐欺に画期的判決 求人票と異なる契約を結ばされても無効にの記事より

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
6月13日 求人詐欺に画期的判決 求人票と異なる契約を結ばされても無効にの記事より

6月13日火曜日。今日は、求人詐欺と言う内容について気になる記事がありました。

※yahooニュースより引用

求人詐欺に画期的判決 求人票と異なる契約を結ばされても無効に
yahooニュース 今野晴貴  | NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
6/7(水) 11:51
5月の給料日を迎えて、4月分の給与明細を初めて受け取り、自分の賃金などの労働条件が募集要項や面接時の説明と異なっている「求人詐欺」に気づいて困惑している人も多いのではないだろうか。

実際に、私たちに寄せられる労働相談には、「求人詐欺」が後を絶たない。たとえば、求人段階では「基本給20万円」と示されていたのに、残業したのに20万円しか振り込まれておらず、もらった給与明細を見ると「基本給16万円+固定残業代4万円」だった、あるいは求人票と業務内容が全く異なっていた、無期雇用のはずが有期雇用だった、などといったケースだ。

中でも悪質な手法は、入社後に募集要項とは異なる契約書にサインを迫るというもの。すでに入社してしまっている中で、「これにサインして」と言われても、なかなか拒むことはできないだろう。

これまでは、もし求人と異なる雇用契約書を結ばされてしまった場合、それが「契約書」として有効になってしまうと考えられていた。

ところが今年3月30日に、こうした現状に一石を投じる画期的な判決が京都地裁で出され、確定した。本記事では、求人詐欺対策に大きな影響を与えるこの判決の意義を簡単に紹介したい。

無期雇用のはずが、有期雇用の労働契約に署名・捺印させられる
この事件の概要は以下のとおりだ。Aさん(当時64歳)は、ハローワークの求人情報から、社会福祉施設を運営する会社に応募した。求人票には、「正社員」「雇用期間の定めなし」「定年制なし」と記載されていたという。

会社と面談をしたときも、とくに求人情報と異なる条件が示されなかった。その後、最初は短時間勤務で11日間勤務し、ようやく本格的な勤務が開始された。その日の勤務直後、Aさんに「労働条件通知書」が渡された。

この通知書には、求人票と決定的に異なる労働条件の労働条件が示されていた。「契約期間期間の定めあり」(1年間)、「定年制有(満6 5歳)」と記載されていたのである。さらに裏面には「本通知書に記載された労働条件について承諾します。」「本通知書を本日受領しました。」印刷されていた。

会社側はAさんに1通を渡し、もう1通にAさんの署名押印を求めた。Aさんはそこに自筆で署名し、押印し会社側に渡してしまった。A さんは、署名・捺印を拒否すると仕事がなくなり、収入が途絶えてしまうと考えたという。

署名・捺印しても「後出し」の条件変更は無効
では、この契約について京都地裁はどのように判断したのだろうか。

第一に、判決はまず、面談時に求人票記載の労働条件が、労働契約の内容として成立したことを認めた。「これと異なる別段の合意をするなどの特段の事情のない限り、雇用契約の内容となる」として、これまでの判例・通説の立場を踏襲したのである。

第二に、より重要な争点は、労働条件通知書に記載された労働条件への変更についての判断である。判決では、事件の事実経過を吟味したうえで、労働条件通知書への原告の署名押印について、「その自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとは認められない」とし、労働条件の変更についての原告の同意がなかったものとした。署名・捺印の事実にもかかわらず、「後出し」での労働契約内容を無効としたのだ。

少し長くなるが、判決の判断理由を引用しよう。

「(労働者の同意の有無について)当該行為を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供または説明の内容などに照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてなされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべき…(略)…この理は賃金や退職金と同様の重要な労働条件の変更についても妥当する」

「合意」してしまったとしてもあきらめずに相談を
この裁判において、会社側は求人票について、社会保険労務士からの助言を受けて、なるべく多くの人が応募するように作成したと供述しており、裁判所からも「求人票の記載が応募者を誘引するためだけの空虚な記載であったことをあからさまに認め」たものであると指摘されている。

この事件のように悪質な社会保険労務士ブラック士業が、法律の抜け道を「指南」している事例は枚挙にいとまがない。悪質な求人詐欺は、こうした「ブラック社労士」の影響もあり、ますます蔓延しているのが実情だ。

だが、今回の判決で、求人票と異なる労働契約を提示され、署名・捺印してしまったとしても、その内容が成立していないと法的に判断される可能性が明確になった。

この事件を担当した弁護士は「ブラック企業被害対策弁護団」および「日本労働弁護団」に所属する中村和雄弁護士である。また、労働組合(ユニオン)の団体交渉でも、不当な契約の無効について争うことができる(裁判よりはハードルが低いだろう)。

無料相談窓口を記載したので、ぜひ求人詐欺に遭ってしまった人は、合意してしまったとしても、あきらめずに労働相談に訪れてほしい。

※引用終わり。

今回の記事は、マスコミやネットで有名なNPO法人による労働者側の記事です。なお私は、会社側の仕事が多い立場ですが、この記事を批判する気はありません。ただ、この記事で「けしからん」で終わらせるのは、採用・労務管理の「お手伝い」をしている立場として、社労士の立場上「もったいない」と私は思います。

会社が事業継続するには、労働者は財産です。​​​​​​慢性的な人手不足が継続し、ネット社会で以前より簡単に情報比較ができる現状、「子供だまし」「詐欺的な」採用・雇用を繰り返すと、求人を出し続けても来なくなってしまうのが現状であると私は思います。

求人内容と実際の労働内容が違うという労働トラブルは、記事の様な訴訟沙汰を含め、多く発生しています。記事によると、採用後しばらく働かせてから求人内容と違う労働条件通知書を用意し、十分説明せずに署名捺印させたという流れのようです。なお今回の判決は「画期的な判決」とは私は思いません。

今回の記事の判決も、シンガー・ソーイング・メシーン事件-最2小判 昭48・1・19や更正会社三井埠頭事件 東京高判平12.12.27 労判809-82等の判決にも書かれている「労働者の自由な意思に基づく合意」か否かによる点で判断されたと私は思います。

私が労働基準監督署で労働相談員をしていた頃も、求人誌の切り抜きを持参で、「書いてる内容と実際が違う。」と怒りながら相談を受けた事例が多かったりします。

あと労働契約書を「一部」用意して、十分内容説明せずに「みんなサインしてるから」と言って無理矢理署名捺印させ、契約書は労働者には渡さず、「会社のみ」保管すると言う事例も多く目の当たりにしました。

この記事の様な労働トラブルを防ぐためには、どうしたらいいでしょうか?今後は下記のような対処が必要だと思います。

・求人票・求人誌の広告掲載後、面接求人内容について、面接受験者に理解できるよう十分な説明を行う。求人票の内容と異なることが発生した場合は、契約前に十分な説明をし、応じるか否か選択の余地を与える。

・採用面接試験等入社試験後の内定後実際に働く前である入社前に、労働条件通知書だけでなく、労働契約書も交わす。なお署名捺印時には、労働条件内容十分説明をしたうえで、応じるか否か選択の余地を与えたうえで合意する。(説明した当日に合意と署名捺印を強制しない。)

以上の2点を行うだけでも、かなり労働トラブルは防げると私は思います。
なお労働契約書は2部作成し、労働者にも必ず1部渡す必要があります。


もし、求人内容と実際に採用後に働く労働条件が異なっていても、面接時・採用時・労働契約書署名捺印時十分説明を行い、理解を得たうえで選択の余地を与え合意をとれば、記事のような労働トラブルは大幅に減少できると私は思います。

採用試験(面接含む)→内定の流れにおいて、求人票の内容と異なる労働条件で、労使間において合意することもあり得ると思います。重要なのは、過去の判例の通り「労働者の自由な意思に基づく合意」を得たか否かであると私は思います。

実際、面接→採用→最初の給料の支払いまで、労働時間・休日・給料等実際の労働条件をうやむやにして働かせている事例も見受けられます。人手不足の現在は、労使間の信頼関係で成り立っていると思います。労使間の信頼関係の崩壊は、この記事のような裁判沙汰になりかねないと思います。

会社として、今後より良い人材を得たうえで、継続的な雇用を維持するためには、上記の対処法をもとに、早急な改善をして頂ければ幸いです。



※写真は今日の夕食で、4月に友人から頂いた横浜海軍カレー等です。一緒にスペイン産の安い赤ワインと前田のクラッカーで飲みました。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。










2017年6月7日水曜日

6月7日 社労士として、労働保険年度更新について思う事

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
6月7日 社労士として、労働保険年度更新について思う事

6月7日水曜日。社会保険労務士にとっては、繁忙期となる労働保険年度更新が始まりました。労働保険料申告納付は、6月1日~7月10日までに行う必要があります。私を含む社会保険労務士は、労働保険年度更新の手続き作業・申告代行等でバタバタな日々が続く方が多い時期だったりします。

私自身も、繁忙期に突入し、顧問先訪問が増えています。通常は去年4月分~今年3月分の賃金台帳のコピーを貰う場合が多いんですが、最近は下記のような「柔軟な対応」が増えつつあります。

・顧問先のパソコンで、賃金データを見ながら一緒に確定保険料・一般拠出金算定賃金集計表、労働保険概算・確定保険料申告書等を作成する。

・顧問先のパソコンで、給料計算ソフトで作成した確定保険料・一般拠出金算定賃金集計表のデータ・書類を確認・チェックをしたうえで、労働保険概算・確定保険料申告書等を作成する。

・顧問先で賃金台帳を見ながら、手書きで労働保険概算・確定保険料申告書等を作成する。

以上のような対応で行いつつあります。最近は、顧問先で打合せしながら書類を作成してしまう場合もあります。

そしてネット社会の現在、最近の給料計算ソフトが優秀なため、申告書作成レベルまで行ってくれます。しかし社労士から見ると、給料計算ソフトでは「勘違い」「間違い」等も混在し、鵜呑みにできない点もあります。そして、建設業等の二元適用事業所、業種が異なる多店舗展開した会社等独特な事情を「配慮」した計算が、給料計算ソフトでは出来てない事が多かったりします。

個人的には、給料計算ソフトは便利で楽ですが、労働保険年度更新においても、「専門的な」「個別事情」まで対応しきれていない点も多かったりします。最後は、専門家による「人」による対応が大切であると私は思います。以上の点でも、私を含む社会保険労務士に相談・依頼をして頂ければ幸いです。



※写真は昨日の夕食で、冷やし中華です。一緒にチリ産の安い赤ワインを飲みました。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。