2016年10月6日木曜日

10月6日 過労死の建築士は「実質的に労働者」賠償命令から、労働者性について

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。

10月6日 過労死の建築士は「実質的に労働者」賠償命令から、請負・業務委託に関する労働者性について

10月6日木曜日。今日は、業務委託・請負に関する気になる記事がありました。

※読売新聞より引用

労死の建築士は「実質的に労働者」…賠償命令
読売新聞2016年09月17日 09時01分
 準大手ゼネコン戸田建設(本社・東京)の施工図作製を任されていた栃木県内の1級建築士男性(当時47歳)が過労死したのは同社の安全配慮義務違反があったなどとして、遺族が同社に計約7910万円損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、宇都宮地裁であった。

 吉田尚弘裁判長は原告側の主張を認め、同社に約5140万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は1987年頃に同社の関東支店(さいたま市)と業務委託準委任契約を結び、支店の業務に従事していた。2004年2月、高根沢町の現場事務所で倒れ、脳幹出血死亡した。

 訴訟では、男性が同社の労働者だったかが争点となり、判決では、男性に従属義務はなかったが、建設現場への常駐を求められたり、作業着名刺を支給されて「出向者」として管理されていたりしたことなどから、「実質的に使用される労働者だった」と認定した。

 また、同社は勤務時間や業務量を確認せず、死亡直前の半年間のうち4か月は、月80時間超時間外労働があり、「心身の健康に配慮していない」とも指摘した。

 遺族は、05年に宇都宮労働基準監督署に労災請求したが、「労働者ではない」と不支給処分になった。06年に労働保険審査会に再審査請求し、不支給処分が取り消され、さいたま労基署が09年に労災認定した。

※引用終わり。

今回の記事は、建設業における業務委託・請負契約に関する、労働者性に関する事例です。私自身、建設業の顧問先が多いので、一人親方等の請負・業務委託の事例は多かったりします。

記事のような施工管理をする技術者の場合、元請の作業着を着て・元請の名刺を持ち、あたかも「元請の社員」のような扱いで「働いている」事例は、結構多いと思われます。今回の判決は、記事のような方法は「労働者」と判断されるという警告だと私は思います。

請負契約(民法632条)は、請負人が仕事の成果を提供し、注文者はその仕事の成果に対して報酬を支払う契約です。

記事のような業務委託委任契約(民法643条)は、当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方(受任者)に委託し、相手方がこれを行うことを内容とする契約のことです。なお、法律行為以外事務を委託することを「準委任(民法656条)」と言います。

請負契約・業務委託労働者か否かを判断するには、下記の様々な要件があります。これらを書面上でなく「実態」として請負・業務委託または雇用なのか総合的に判断する必要があります。

労働者ではなく、請負・業務委託である為の要件)
1 会社から業務の具体的内容及び遂行方法に関して指揮命令を受けていない。
2 仕事の依頼、業務従事の指示などに対して拒否できる。
勤務場所・勤務時間について定めや管理されていない。
4 機械や器具は自分で用意している。
他社の業務に従事することに制約が無い。
6 所得税について、自分で確定申告している。消費税を加算している。
7 報酬が時間給・日給等の時間で計算されていない。

なお、請負契約・業務委託労働者と判断されない場合は、労働基準法・労災保険法等の労働法の保護がありませんので注意が必要です。従って、仕事中の怪我などの対策として、労災保険の一人親方の加入をお勧めします。また請負契約・業務委託した場合は、個人事業主となり、国民健康保険・国民年金に加入する必要があります。また、所得は事業所得となり確定申告が必要です。

請負契約・業務委託の場合は、記事のように労災発生時にトラブルになる可能性が高いので、請負契約書・業務委託契約書をお互いの同意のうえ結ぶ必要があります。また、書面だけ整備して、記事のような実は「雇用」というパターンが多いので、上記要件を実態で厳守する事が必要です。

※写真は今日の夕食で、親子丼・鮪の刺身・鶏の唐揚げ・きんぴらゴボウ・ひじき等です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。








0 件のコメント:

コメントを投稿