2017年1月3日火曜日

1月3日 電通女性社員過労自殺​から学ぶこと

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。

1月3日 電通女性社員過労自殺​から学ぶこと

1月3日火曜日。正月も今日で終わり、明日からは「通常」の日々に戻る方が多いと思います。そのような中、去年年末に問題となった電通の過労死自殺絡みに関して、気になる記事がありました。

※読売新聞より引用

電通、過少申告常態化か…残業代不払いも立件へ
読売新聞2016年12月31日 06時00分
 社員に違法な長時間労働をさせたとして、労働基準法違反容疑書類送検された大手広告会社・電通の複数の部署で、労働時間の過少申告が行われていた疑いがあることが、関係者への取材でわかった。

 厚生労働省は、過少申告が常態化していたとみて、残業代の不払いの疑いでも、同社を立件する方針を固めた。

 同省は11月、電通の4本支社に強制捜査に入り、関係資料を押収。社員の勤務記録と会社の入退館記録を照合するなどした結果、複数の部署で、勤務記録上は退勤した社員が、会社に残っていたことが判明した。残業時間を短く申告していた疑いが強いという。

 昨年12月に過労自殺した新入社員の高橋まつりさん(当時24歳)も、勤務記録上の残業時間は労使協定の上限(月70時間)を下回っていたが、実際は約105時間だったと労災認定された。

※産経新聞より引用

「パワハラといわれても仕方ない」 石井直社長ら一問一答 電通女性社員過労自殺
産経新聞2016.12.29 07:15
 電通の石井直社長と中本祥一副社長の記者会見の主なやりとりは以下の通り。

 --亡くなった高橋まつりさんに対しては、社内外の調査でパワハラとの指摘も否定できない行き過ぎた指導だったと結論付けた
 中本副社長「業務経験が薄いことを考えれば、パワハラとの指摘も否定できない。ただ、外部調査で不法行為は認められなかった」
 石井社長「人権を侵害するものはなかった。しかし、若い社員に対する指導として配慮が必要だった。熟練社員であれば、受け止め方や仕事の進め方もコントロールできたかもしれない。総合的にパワハラといわれても仕方ない」

 --電通の企業風土をどうみているか
 石井社長「社員のプロ意識が強く、120%の成果を求め、仕事は断らない。そのすべてが過剰だった。歯止めがかけられなかったのは経営側に責任がある」

 --12月25日の一周忌にご遺族を弔問した
 石井社長「ご冥福をお祈りするとともに心から謝罪を申し上げた」

 --高橋さんの母親の手記は読んだか
 石井社長「読ませていただいた。おっしゃっている通りで、制度を変える以前に、意識を変えないといけないと痛感した

 --3月までの経営体制はどうなるのか
 石井社長「代表権は1月に返上する。新たな社長が代表権を持つ。私は3月の株主総会で取締役退任する。後任人事は白紙だ

 --今回の事件における業績への影響は
 石井社長「将来はわからないが、(受注は)現在減っていない。ただ、問題を受けて、これから人材を増やすのでそのコストは増える

※引用終わり。

記事を読んで、正直「やっぱり」と思ったのが感想です。

今まで労働基準監督署は、電通に対して是正勧告を多くしていると思います。しかし電通は、上辺だけ表向きだけ改善したような「体裁」を取り繕う行為を繰り返してきたのだと、私は思います。また残業時間の過少申告は、そのようなアングラ化(表には出せないような裏(違法・非合法行為)の世界化)の氷山の一角に過ぎないと思います。

なお電通のホームページを定点観測していましたが、電通が書類送検されるまでミエとプライド(誇り、自尊心)が強いせいか、亡くなられた従業員への謝罪・お詫びの文章は一切なく、下記の様な発表をニューストピックに載せているだけでした。

・2016年11月1日に「電通、本日付で「電通労働環境改革本部」を発足」
・2016年12月2日に「労働環境改善の取り組みについて」
・2016年12月22日に「労働環境改革の進捗状況について」

上記記事には、抽象的に労働環境改善について記載されるだけで、亡くなられた従業員の方については、一切の記載はありません。

年末に書類送検が大きく報道されて初めて、ある意味「もう隠しきれない」「体裁を保てない」という事でしょうか?下記の様な発表を立て続けに公表しています。この記事で、やっと亡くなられた従業員への謝罪が述べられています。

・2016年12月28日に「労働基準法違反容疑による書類送検と再発防止に向けての当社の取り組みについて」
・2016年12月29日に「代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」

たぶん現在、顧問弁護士の助言を受けながら動いていると思われますが、ワタミの事例と同様、正直「初期対応」を大きく誤ったと思われます。

過去に電通における労災過労死をネットで調べた限り、今回含めて3回発生しています。そのうち1回は、最高裁まで争った挙句に敗訴しているにも関わらずです。しかし皮肉なことに、「広告業界は特別」と電通の経営者も思いながら現在に至ったのでは?と私は考えてしまいます。

この事例は、今後、労働基準法等労働法関係に大きな影響を与え、労働時間・残業時間に関する法改正が急速に行われると私は思います。今後、大企業はもちろん中小企業における残業時間の根本的な削減・労働時間管理の徹底を出来る限り早く行うことをお薦めします。



※写真は、元旦に食べた我が家のお節料理です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
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ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。










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