2017年5月25日木曜日

5月25日 アリさんマークの引越社「労組加入でシュレッダー係に不当異動」和解から学ぶこと

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
5月25日 アリさんマークの引越社「労組加入でシュレッダー係に不当異動」和解から学ぶこと

5月25日木曜日。今日は労働組合加入・配置転換に関する気になる記事がありました。今回は、記事を2種類掲載します。

※読売新聞より引用

「労組加入でシュレッダー係に不当異動」…和解
読売新聞2017年05月25日 07時32分
 「アリさんマークの引越社」の名称で知られる「引越社関東」(東京)の男性社員(35)が、労働組合への加入後に営業職からシュレッダー係異動させられたのは不当だとして、同社に異動の無効などを求めた訴訟の和解が24日、東京地裁(吉田徹裁判長)で成立した。

 男性の代理人弁護士によると、同社が異動の不当性を認めて謝罪し、男性を営業職に復帰させて解決金を支払う内容という。

 訴状などによると、男性は2011年に正社員として入社。営業担当だったが、引っ越し作業中に破損した荷物の「弁済金」を給与から天引きされる仕組みに疑問を感じ、15年3月、外部の労働組合に加入した。翌月、この仕組みの廃止などを求めて団体交渉に臨むと、同年6月、「シュレッダー係」に異動させられた。

 男性によると、仕事中は専用のオレンジ色のシャツを着て、一日中、書類を裁断しては近くのビルに運ぶことを繰り返すよう命じられたという。同年8月にいったん懲戒解雇処分を受けた際には、社内に男性の顔写真と共に<罪状><会社の職制に反抗>などと記された紙を貼り出された。

 和解成立後、男性は「復職できてうれしい。今後も労働環境の改善に取り組みたい」と話した。同社は「コメントは控える」としている。

※弁護士ドットコムより引用  :(注)和解成立前の記事です。

アリさん労働問題「全面的な和解」交渉へ、労働組合の「街宣活動」は急きょ中止
弁護士ドットコム2017-05-15 13:26 80    

「アリさんマーク」で知られる引越社のグループ会社「引越社関東」(東京都)で営業職だった男性社員が、労働組合への加入をきっかけに「シュレッダー係」に異動させられた問題で、男性が加入する労働組合「プレカリアートユニオン」の清水直子執行委員長は5月15日、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「会社側から、全面的な和解に向けた話し合いをしたいという提示があった」と話した。

和解協議中は街宣活動をしない取り決めのため、組合側は、この日予定していた同社前での「大抗議アクション」を急きょ中止した。

●男性は現在も「シュレッダー係」のまま

男性は、残業代が支払われなかったうえ、営業車運転中の事故で弁償代を請求されたことから、2015年3月に「プレカリアートユニオン」に加入。会社側は同年5月、男性を営業職から「アポイント部」に配置転換し、さらに同年6月、一日中「シュレッダー」をかけるだけの仕事に異動させた。

男性が同年7月、異動命令を無効とする訴訟を起こすと、会社側は同年8月、「会社の名誉を害して、信用を傷付け、莫大な損害を与えた」として、男性を懲戒解雇した。その際、男性の氏名と顔写真入りの「罪状」と題した紙を「引越社」グループ全店に貼り出した。

その後、解雇が撤回されて、男性は復職したが、現在もシュレッダー係のままだ。男性の訴訟をめぐっては、東京地裁から5月24日に和解案が示される予定で、踏み込んだ協議がおこなわれる方向だという。労働組合側は、(1)男性を営業職に戻すこと(2)慰謝料(3)差額分の賃金(4)謝罪――などを条件に盛り込むことを求めている。

引越社をめぐっては、シュレッダー係の男性のほかにも、全国の社員・元社員約40人弁償金返還残業代支払いなどを求めて提訴している。今年3月には、名古屋地裁が、会社が組合活動に不当介入したとして、損害賠償計50万円を支払うよう命じた。今回、会社が提示した「全面的な和解に向けた話し合い」は、同社の労務管理全般に関するものになるという。

(弁護士ドットコムニュース)

※引用終わり。

実は、この会社の事件は、少し前に大騒ぎなった内容だったりします。テレビ東京の「ガイヤの夜明け」でも、「密着!会社と闘う者たち 〜"長時間労働"をなくすために〜」と題してこれらの経緯を取り上げられました。またyoutube等の動画では、副社長など経営幹部の恫喝めいた発言や対象労働者への恫喝めいた発言が、今でも公開されています。

この記事をもとにネットで検索すると、ウィキペディアを筆頭に、NAVERまとめやユニオンのブログ、他の記事等労働者側の記事が多く見つかります。それらの記事を読むと、会社側の仕事が多い社労士でも「耐え難い内容」「けしからん」「呆れて何も言えない」と思われる内容が多く見受けられます。

今回の記事では、労働組合員である一人の労働者の不当配置転換等に関する和解ですが、あくまでも「はじまり」に過ぎません。一連の労働問題は長期化、慢性化しており、他の従業員、元従業員が集団訴訟中です。なお、アリさんマークの引越社ホームページには、今回の和解を含む一連の労働トラブル等に関して、一切情報は提示されておりません。

しかし、これらの記事を読んで、労働者側の立場だけで「けしからん」だけで終わらせては、何の学びもありません。ここまでネット企業の醜態を晒され、テレビ報道され、裁判沙汰になり、新聞記事にされると、会社の業績への影響はもちろん、業界(引っ越し業界・運送業界)への採用の影響にも響きかねません。現に引っ越し業界を含む運送業界人手不足は、深刻なのも事実です。

遅刻・勤務態度が悪い・物損事故多発等問題社員の対応については、引っ越し業界・運送業界を含む企業において深刻な問題でもあります。しかし問題社員の対応の仕方・教育の仕方・労働トラブルへの初期対応を間違え、長期化・慢性化すると、ネット社会の現在、今回のような「醜態」を多く晒す事になりかねません。個人的には、労働トラブルユニオン(一人で入れる労働組合)を含む労働組合に対し、訴訟レベルまで戦うのは、費用対効果が無いのはもちろん、百害あって一利無しであると思います。

なおネット記事等を読むと、会社の労務管理・労働トラブル対応として、「やってはいけない事」のオンパレード(羅列)だったりします。この会社は、「運動会系のノリで大きくなってしまったのか?」と私は感じてしまいます。「運動会系のノリ」は、昔の企業なら通用しましたが、ネット社会の現在は通用しないと私は思います。

今後は、今回の記事を教訓に、問題社員等含む労働トラブルに対する初期対応、労務管理改善について、私を含む社会保険労務士に速やかに相談しながら対処することをお薦めします。


※写真は昨日の夕食で、豆腐チャンプルー・ラタトゥイユ・味噌汁等です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。









0 件のコメント:

コメントを投稿