2017年3月31日金曜日

3月31日 精神疾患で退職した従業員を訴えた会社が敗訴から学ぶこと

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
3月31日 精神疾患で退職した従業員を訴えた会社が敗訴から学ぶこと

3月31日金曜日。今日は、損害賠償請求に関する気になる記事がありました。

精神疾患で退職した従業員を訴えた会社が敗訴…逆に慰謝料支払う羽目に
弁護士ドットコムニュース)2017年03月30日 18時50分
過酷な労働のために「躁うつ病」を発症して退職したところ、会社から約1200万円の損害賠償を求める訴訟を起こされて精神的苦痛を受けたとして、IT企業で働いていた20代男性が、会社を相手取って、損害賠償を求めた裁判の判決が3月30日、横浜地裁であった。横浜地裁は、会社側の請求すべて棄却男性に対して110万円を支払うよう命じた。
男性の代理人をつとめた嶋崎量弁護士によると、男性は2014年4月にIT企業「プロシード」(神奈川県)に入社。劣悪な職場環境のもとで、精神疾患(躁うつ病)を発症し、同年12月に退職した。
ところが、男性は、会社から「ウソの病気で、会社を欺いて一方的に退社した」として、約1200万円の損害賠償を求める訴訟を起こされた。この提訴によって、症状が悪化するなど、精神的苦痛を受けたとして、反対に損害賠償を求めて提訴していた。

判決を受けて、男性は代理人を通じて「この判決で、裁判を提起した会社の法的責任を認めてくれて、本当に嬉しいです。この判決を契機に、不当訴訟を起こす会社、私のような苦しい思いをする方がいなくなれば、なお嬉しいです」とコメントした。
プロシードは、弁護士ドットコムニュースの取材に「担当者が不在だ」としている。

●嶋崎弁護士「ブラック企業を返り討ちにした点に意義がある」
男性の代理人をつとめた嶋崎弁護士のコメントは以下の通り。
「退職後の労働者への不当訴訟を理由に損害賠償請求が認容されたケースは数件しか先例もなく、画期的な判決だ。ブラック企業を返り討ちにした点に意義がある。

近年、退職後の労働者に対して、法的な根拠を欠くのに、不当な損害賠償請求を提起するケースが増えている。この判決は、会社の請求が何ら法的根拠を欠くことを明言するだけでなく、こういった訴訟提起をすること自体で不法行為に基づく損害賠償の支払を命じられることになることを示しており、意義がある。

退職後の労働者への損害賠償請求は、労働者を萎縮させ、「辞めたいのに辞められない」被害を生む要因となる。この判決は、頻発するほかの不当請求に対しても大きな警告となることを期待する」

※引用終わり。

今回の記事は、長時間労働(他の新聞記事では、パワハラ記載あり)に伴う精神疾患退職した労働者に対し、会社労働者に対し損害賠償請求の訴訟をしたという記事です。通常、精神疾患を患った労働者から会社を訴える事例は多いですが、珍しく感じてしまいます。

記事は、「労働者側の立場」で記事を書いてるため、会社側の事情がわかりません。ただ、「会社側の立場」の仕事が多い社労士から見ても、今回のような訴訟は、お勧めできない事例だと思います。

在職時に重大な「問題社員」であり、在職時に大きなミスや損害を与えた挙句、(精神疾患等患ってない健康な状態で)退職したならば、会社から労働者への損害賠償請求はあり得ると思います。しかし、過重労働・パワハラ→精神疾患(躁うつ病)→退職の場合は、通常は労災申請→労災認定→労働者から会社へ損害賠償請求という流れが多かったりします。

今回の記事の会社は、精神疾患を患った退職者をさらに会社労働者に対し損害賠償請求の訴訟をした結果、裁判所は全く認めず敗訴し、逆に反訴された損害賠償を払う羽目になってしまいした。

ある意味、「仕方がない」「当然の」判決だと思います。そして今回訴訟をした、会社の判断は、継続した労務管理を考えるならば、お粗末な判断であると私は思います。今回の事例で、今後は精神疾患を患った退職労働者の扱いや退職した労働者へ損害賠償請求する訴訟をするか否かの判断に参考になったと思います。

今後、退職労働者への損害賠償請求を考えるときは、退職理由(解雇・自己都合退職・精神疾患を患っていたか否か等)と退職労働者が会社へ与えた被害額、内容、程度等と比較し、今回の記事を含む過去の判例をもとに判断することをおススメします。


※写真は今日の夕食で、佐賀牛ヒレステーキ(スーパー値引き品)・ビシソワーズ・分葱のぬた等です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
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ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。








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