2017年8月31日木曜日

8月31日 北九州市「パワハラで自殺」非常勤職員の遺族が提訴より考える

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
8月31日 北九州市「パワハラで自殺」非常勤職員の遺族が提訴より考える

8月31日木曜日。既に夏も終わろうとしている頃、今日はパワハラに関する気になる記事がありました。

※毎日新聞より引用

北九州市「パワハラで自殺」非常勤職員の遺族が提訴
毎日新聞2017年8月29日 10時45分(最終更新 8月29日 18時14分)

2015年5月に自殺した北九州市の非常勤職員、森下佳奈さん(当時27歳)の両親が29日、自殺は上司のパワハラが原因なのに非常勤を理由に公務災害の認定請求を認められず精神的損害を受けたとして、市に慰謝料など計160万円損害賠償を求めて福岡地裁に提訴した。市の条例非常勤職員本人や遺族による公務災害認定請求について規定しておらず、遺族は「常勤職員は請求できるのに、非常勤だからと門前払いする条例はおかしい」と訴えている。

 訴状によると、森下さんは12年4月から市の非常勤職員に採用され、戸畑区役所の子ども・家庭相談コーナーの相談員として勤務し始めた。しかし、上司の叱責業務量の負担増などから13年1月ごろにうつ病となり、15年5月に自殺した。両親が16年8月、公務災害の遺族補償手続きを市に問い合わせたところ、「本人や遺族による請求は認められていない」と回答された。

 両親側は「本人や遺族の請求権を認めない条例は無効で、適切な調査で公務災害かどうかの判断を受ける期待権を不当に侵害された」と主張。同時に市を相手取って労働基準法に基づく遺族補償など約1209万円の損害賠償を求める訴訟も福岡地裁に起こした。

 市は「条例は国が各自治体に示したひな型に基づき定めた。また市の調査で上司のパワハラは認められなかったため、公務災害かどうかを判断する必要もない」としている。

 地方公務員の公務災害を巡っては、常勤職員地方公務員災害補償法に基づき本人や遺族が第三者機関の基金に認定申請できるが、非常勤職員適用外になっている。このため各自治体が条例非常勤職員の補償手続きを定めており、本人や遺族からの申請を認めている自治体もある。【平川昌範】

※引用終わり。

今回の記事は、パワハラ非正規雇用絡みの労働問題だと私は思います。今回の場合、パワハラ→うつ病発症→自殺→民事訴訟損害賠償請求で訴訟の事例です。ただ、公務災害を認定されてない段階での訴訟です。なお地方自治体の臨時職員地方公務員ですが、労働基準法上労働者に該当します。

また一般職の地方公務員は、労働条件の決定、通貨・直接・全額払いの原則、フレックスタイム制、変形労働時間制、事業場外みなし・裁量労働制、計画年休、災害補償及び就業規則等除き労働基準法適用されます

簡単に言うと、一般職の地方公務員には、遺族補償を含む災害補償適用されません。記事によると労働基準法第75条(遺族補償)に基づく損害賠償請求しているようですが、労働基準法は適用できないのでは?と私は思います。

なお労働契約法20条で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止が定められていますが、労働契約法22条地方公務員には労働契約法適用しない旨明記されています。

したがって北九州市側は、臨時職員である地方公務員への労働基準法第75条遺族補償及び労働契約法第20条をもとにした臨時職員である旨の労働条件等不利益な取り扱いに等に関しては、適用除外であり、無効である旨主張するのではないか?と私は推測してしまいます。

しかし最近のパワハラ絡みの判例を見ていると労働者側に有利な判決が多いため、会社側の立場の仕事が多い社労士の私でも、労働者側が有利では?と思います。社労士の立場から見ると個人的には、裁判沙汰になる前に、話し合いによる和解が出来なかった点が悔やまれます。

パワハラに関して、パワハラ事案で加害者側にヒアリングしてみると、加害者側に「パワハラをしてるという認識が無い」のも事実だったりします。また実際にパワハラ行為をした経営者及管理職クラス労働者等がパワハラ防止セミナー等を受講されていても、未だ「自分には関係ない」「部下の為の教育であり、パワハラではない」という認識の方が、残念ながら一部いらっしゃいます。

今後、パワハラによるトラブルを防ぐには、まずは管理職部下への教育・指導の仕方を見直し改善する必要があると思います。その為にも、管理職へのパワハラ防止を含む労務管理の教育は必要であると思います。また経営者自身も、今までの常識・当たり前を見直し、時代の流れを理解し、パワハラ防止・初期対応の重要さを認識していただければ幸いです。

また、パワハラになっている言動について、私自身の労働相談経験やパワハラに関する訴訟記事等で注意してみると、下記のような共通点があると思います。

・高すぎるハードルの設定
・達成できない部分の指摘 
・人格否定


以上のような共通点で注意・叱咤した挙句、労働者からパワハラと認識されてるように思われます。パワハラか否かを認識・判断しているのは管理職・経営者では無く、被害者である労働者である事を認識していただければ幸いです。

今後は、「性格を否定する言葉」より、「行動を改める言葉」で労働者を注意するのをオススメします。また、注意をするときには「過去の原因」を追求するのではなく、「今後どうしたいか?」「今後どうすべきか?」「今後の目標・目的」に重点を置いて注意・アドバイスをする事をオススメします。


※写真は昨日の夕食で、鱈のアクアパッツァ・納豆スパ等です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。









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