2017年2月23日木曜日

2月23日 「ほっともっと」店長は「名ばかり管理職」の判決より考える

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
2月23日 「ほっともっと」店長は「名ばかり管理職」の判決より考える

2月23日木曜日。今日は、「名ばかり管理職」に関する気になる記事がありました。

※弁護士ドットコムニュースより引用

「ほっともっと」店長は「名ばかり管理職」…元従業員への残業代支払い命じる
弁護士ドットコムニュース2017年02月17日 16時35分
弁当チェーン「ほっともっと」の店長だった30代の女性が、管理職であることを理由に残業代が支払われなかったのは不当だとして、運営会社プレナス(福岡市)に未払い残業代など約510万円を求めていた訴訟の判決が2月17日、静岡地裁であった。裁判所は、女性は管理監督者には当たらないとして、プレナスに約160万円の支払いを命じた。

争点になったのは、女性が「名ばかり管理職」かどうかだ。労働基準法上、「管理監督者」には残業代を支払わなくても良いが、肩書き上「管理職」であったとしても、実態が伴っていなければ、残業代を支払わなくてはならない。

裁判所は、女性の年収が約320万円程度と本社の社員(非管理職)よりも低かったこと、店舗運営についての裁量が少なかったことなどから、管理監督者とは言えないと判断した。

女性は代理人を通じて、「この判決を受けて、会社には店長の労働条件を管理して、残業代を支払い、働く環境を整備してほしい」とコメントした。

●プレナス直営店の店長職は「管理監督者」

判決などによると、女性は、2012年7月に正社員採用され、研修の後、11月に静岡県内の店舗に店長として配属された。残業は最大で月100時間を超えたという。女性は調理やレジの仕事もしていたといい、過労で体調を崩し、2013年9月から休職休職期間満了で、翌年10月末に退社した。

女性は、残業代が払われていなかったことから、2014年に労働審判を申し立てた。未払い残業代は約120万円と判断されたが、プレナス側が異議を申し立てたため、今回の訴訟になった。

飲食店店長の管理監督者性が争われた裁判では、マクドナルド直営店の店長について、管理監督者性を否定した有名な判決がある(2008年)。今回のプレナスの対応について、女性の代理人を務める鳥飼康二弁護士は、「今どき、大手がこんなことやるのかと驚いた。『店長は店舗の経営者だ』と一方でおだてておいて、給料は抑える。いわゆる『やりがい搾取だ』」と批判した。

【午後5時50分追記】

プレナスのHPによると、同社が運営するブランドは、ほっともっと(直営875店)のほかに、やよい軒(同250店)、MKレストラン(同31軒)がある。原告側によると、プレナスの社内規則では、管理監督者に当たるものとして「直営店上級店長および店長職」が挙げられているという。ほっともっと店長の管理監督者性をめぐっては、現在大分県でも同様の裁判が進んでいる。

弁護士ドットコムニュースの取材に対し、プレナスは「店長の扱いも含めて、現状ではコメントを差し控えたい」としている。

※引用終わり。

今回の記事は、いわゆる名ばかり管理職・管理監督者の問題です。以前、マクドナルドの店長が管理監督者か否かで裁判となり、東京地方裁判所で会社側が管理監督者と認められずに敗訴となった後、東京高等裁判所で労働者に有利な条件で和解して終わりました。

今回の記事のような未だ一部の企業では、店長・営業所長等を管理監督者扱いしている事例が多く見受けられています。労働基準法第41条で、「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」といいます)については、「労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しない」となっている為、今回の記事も会社として「有効活用」していた事例だと思います。

しかし、先程書いたマクドナルドの店長の裁判を含め、既に管理監督者を巡る訴訟は多く行われ、判例をもとに下記のような3つのポイントで総合的に判断されています。

1.職務内容、権限、責任
労務管理について、経営者と一体的な立場にあること
2.勤務態様、労働時間管理の現況
 労働時間、休憩、休日等に関して厳格な規制を受けず、自己の勤務時間について裁量性が認められていること
3.待遇
賃金などの面で、一般労働者と比較して、その立場に相応しい優遇を受けていること

以上の3点をもとに総合的に判断された結果、管理監督者と認められた判決は、医療法人徳州会事件(大阪地裁判決 昭和62年3月31日)や姪浜タクシー事件(福岡地裁平成19年4月26日・労判948号41頁)等非常に少ないのが実情です。

今回の記事の判決も、多くの管理監督者性を争った裁判同様、地方裁判所レベルですが認められなかったようです。今後、高裁・最高裁と争うか不明ですが、個人的には「管理監督者」と認められるのは厳しいと思います。

今後は、労働基準法等の労働法・通達・過去の判例をもとに、事前に判断してから、法的に有利か不利か「先読み」することが大切であると思います。また裁判まで「争う」のではなく、過去の判例から「妥協点」を見つけ、原則社内話し合いレベル、最悪でも労働審判レベル和解することをお薦めします。


写真は昨日の夕食で、ぶり大根、かぼちゃ煮物、茎わかめ、松前漬けです。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
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ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。









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