2017年9月30日土曜日

9月30日 「建設業界、残業に自主規制」が、机上の理論にならないように

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
9月30日 「建設業界、残業に自主規制」が、机上の理論にならないように

9月30日土曜日。今日は、建設業の残業・長時間労働に関する気になる記事が2つありました。

※時事通信より引用

建設業界、残業に自主規制=人材難解消へ週休2日も
9/22(金) 17:00配信 時事通信
 大手建設会社で構成する日本建設業連合会は22日、残業時間に上限を設ける自主規制と、週休2日制の実現に向けた行動計画を発表した。政府が進める「働き方改革」と歩調を合わせ、他の業界に比べ厳しいとされる労働環境を改善し、人材不足の解消につなげたい考え。

 山内隆司会長(大成建設会長)は22日の記者会見で、残業上限の自主規制などについて「当事者としてスピード感を持った自助努力が不可欠。政府方針より一歩でも二歩でも早く対応していきたい」と述べた。会員企業140社に加え、今後は約50万の建設業者がいる業界全体にも同様の取り組みを求める。

※ 読売新聞より引用

新国立工事で違法な長時間労働、会社に是正勧告
読売新聞2017年09月29日 15時07分
 新国立競技場(東京都新宿区)の建設工事に従事していた建設会社の男性新入社員(当時23歳)が自殺した問題で、労働基準監督署が同社に対し、違法な長時間労働があったとして是正勧告していたことがわかった。
 また、元請けの大成建設(東京都新宿区)に対し、労働環境を改善するよう行政指導した。
 遺族の代理人弁護士によると、男性は昨年4月、都内の建設会社に入社した。12月から同競技場の地盤改良工事で施工管理を担当していたが、徹夜勤務などが続き、今年3月に失踪。4月に長野県内で自殺とみられる遺体で発見された。遺族は失踪1か月前の残業時間が月約211時間に達していたとして、7月に労災申請した。

 これを受けて、厚生労働省は新国立競技場の建設に関わる約800社に労働時間調査を行った結果、男性が働いていた会社で複数の従業員に違法な長時間労働が確認されたため、是正勧告を行った。

 読売新聞の取材に、同社は「担当者が不在で詳しいことがわからない」、大成建設広報室は「現時点で言えることはない」としている。

※引用終わり。

二つの記事を読むと、社労士として複雑な心境です。しかも私は建設業の顧問先が多く、私自身、過去サラリーマン時代に建設現場の現場監督経験があるので、内情がわかります。この記事を、ただ「けしからん」だけでは済ませられない現状を実感します。なお大成建設としては、今回の事例が「机上の理論」にならないよう、改善が必要だと思います。

記事によると工事発注者は、文部科学省所管の独立行政法人日本スポーツ振興センターのようです。いわゆる「官庁工事」の工期厳守は絶対であり、施工管理担当者は神経をすり減らしながら工期前には徹夜レベルの残業が続くのが多いと、私自身の「過去の経験」で実感します。

今回の事例も、似たような状況で長時間労働が重なり自殺、いわゆる長時間労働→自殺→労災申請の流れのようです。正直、建設業の労働時間問題は、元請のゼネコン・下請~孫請~曾孫請等だけを「けしからん」と責め立てても改善されないと私は思います。

今回の事例は、施主は文部科学省関係で、労働時間を巡る行政指導をしたのは厚生労働省です。施主である文部科学省に対し、厚生労働省労働基準法厳守工期設定・工期延長を言えるようには私は思えません。。。いわゆる縦割り行政「しがらみ」「問題」もあるのでは?と私は感じます。

建設業の労働時間問題は、元請である工事会社はもちろん、下請・孫請・曾孫請等重層下請け構造の建設業界では、全体的な労働時間管理が必要になります。また施工業者のみに改善を求めても、改善は厳しいと私は思います。それには施主である発注元にも工期の延長等の配慮が必要な場合が生じます。

政府は、再来年施行を目指している「働き方改革」の中で、残業時間上限規制・罰則化を考えています。その中で建設業の特殊事情を考え、法施行後5年間の猶予期間を経て、それぞれの実態に応じた上限規制を導入を予定しています。

今後大幅な法改正に伴い、建設業界の常識・当たり前を根本的に見直す時期になりつつあります。正直、この問題は非常に難しいです。私自身、顧問先と一緒に、この問題を対応していきたいと思います。


※写真は昨日の夕食で、自家製おでんと特売の刺身盛り合せ等です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。








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