2018年2月6日火曜日

2月6日 「仮眠も労働時間」の判例から、労務管理を考える。

間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。
 
2月6日 「仮眠も労働時間」の判例から、労務管理を考える。

2月6日火曜日。今日は、仮眠時間に関する裁判に関して気になる記事がありました。

※朝日新聞より引用

「仮眠も労働時間」イオン関連会社に残業代支払い命令
朝日新聞 2017年5月17日19時54分

 イオンの関連会社で警備業の「イオンディライトセキュリティ」(大阪市)の男性社員(52)が宿直の仮眠は労働時間にあたるなどとして、未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の判決が17日、千葉地裁であった。小浜浩庸裁判長は労働からの解放が保証されているとは言えない」として、原告の請求をほぼ認め、未払い残業代付加金計約180万円を支払うよう同社に命じた。

 判決によると、男性は2011年に入社し、都内や千葉市のスーパーで警備の仕事をしてきた。千葉市の店で働いていた13年1月~8月には24時間勤務で、30分の休憩時間4時間半の仮眠時間があった。

 原告側は「仮眠時間でも制服を脱がず、異常があった際はすぐに対応できる状態を保ったままの仮眠で、業務から解放されなかった」と主張。小浜裁判長は「仮眠時間や休憩時間も労働から解放されているとは言えない」と指摘した。

 男性は残業代支払いを求めた後に出された別の部署への異動命令についても、不当な配置転換だなどとして慰謝料500万円を求めていたが、千葉地裁は「異動は業務上必要があったと認められる」として、請求を棄却した。

 閉廷後、会見した男性は「同じような労働環境で働いている同僚がいる。今回の判決が、警備業界の就労環境の向上につながれば」と話した。同社は「判決の内容を精査し、適切な対応をしたい」とコメントした。(滝口信之)

※引用終わり。

この記事を読んだとき、有名な判例である「大星ビル管理事件(最高裁判所第一小法廷平成14年2月28日判決)」を思い出します。判決では、下記の通り述べられてます。

※ 裁判所ウェブサイトより引用
1 労働者が実作業に従事していない仮眠時間であっても,労働契約上の役務の提供義務付けられていると評価される場合には,労働からの解放が保障されているとはいえず,労働者は使用者の指揮命令下に置かれているものであって,労働基準法32条の労働時間に当たる。

2 ビル管理会社の従業員が従事する泊り勤務の間に設定されている連続7時間ないし9時間の仮眠時間は,従業員が労働契約に基づき仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられており,そのような対応をすることが皆無に等しいなど実質的に上記義務付けがされていないと認めることができるような事情も存しないなど判示の事実関係の下においては,実作業に従事していない時間も含め全体として従業員が使用者の指揮命令下に置かれているものであり,労働基準法32条の労働時間に当たる。

※引用終わり。

以上のような判例は、私を含む社労士さんや労働トラブルに強い弁護士さんでは、有名だったりします。今回の記事は、この大星ビル管理事件に似た仮眠時間を巡る裁判です。記事を読んだ限り、大星管理ビル事件に類似の事例だと思います。

被告人であるイオンディライトセキュリティは、有名なイオングループの関連会社のようです。有名企業の関連会社ならば、顧問弁護士さん等いらっしゃると思うんですが、訴訟沙汰になった挙句、会社側の敗訴となり新聞等に掲載されてしまいました。裁判沙汰になると、今後は求人・採用に影響すると個人的には思います。

なお調べてみると、過去に労働機基準監督署に複数回是正勧告を受けているようで、ユニオン(一人で入れる労働組合)と団体交渉を重ねているようです。ある意味、小さな労働トラブルの積み重ねと、労働トラブルの対応の仕方のお粗末さが表面化したように思えてなりません。

警備業界的に、慢性的な人手不足「しがらみ」が多いのは事実だと思います。人手不足と顧客との受注金額の兼ね合いで、会社内の事情が厳しいのは事実だと思います。しかし慢性的な人手不足の現在、「業界の常識」だからと言って、労務管理改善をしないと、警備業界全体に人が集まらなくなってしまいます。

今回の記事は、正直、私を含む労働トラブルに詳しい専門家に、労働トラブル発生時にすぐ相談すれば、裁判沙汰になる前に、解決できる可能性が高い事例であると思います。特に私を含む社会保険労務士の場合は、労働時間に対する労務管理に関しては、就業規則見直し・労働契約書見直し建設的な助言が出来ると思います。

よく労働トラブルは、「弁護士に相談すればいい」と考える経営者・人事担当の方がいらっしゃいます。しかし一部の弁護士さんで、「裁判してナンボ」的感覚で、裁判沙汰になるまで「裁判沙汰にならないようにする助言」はしない事例をいくつか見ました。初期対応・予防・再発防止のアドバイスはしてないような気が、私はします。また労働法関係は、勉強していない弁護士さんも多く、労働トラブル対応に慣れた弁護士さんは、一部だったりします。

ましてや労働トラブルに関して得意な弁護士さんは、主に「労働者側」の弁護士さんが多く、主に「会社側」の対応をする弁護士さんは、非常に少なかったりします。そういう点でも、私を含む社労士に相談のうえ、社労士のレベルを超えた場合は、社労士から労働トラブル対応が得意な弁護士さんを紹介して貰った方が良いのでは?と思うこの頃です。

私自身も、採用と労務管理の町医者として、労働トラブル裁判沙汰にならないよう、労働トラブル防止労働トラブル発生時の初期対応に頑張りたいと思います。



※写真は、先日の夕食でワンタン入り野菜スープ・肉じゃやが・おから等です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。







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