2019年3月11日月曜日

3月11日 契約社員退職金格差の東京メトロ子会社賠償命令から同一労働同一賃金を考える

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。

3月11日 契約社員退職金格差の東京メトロ子会社賠償命令から同一労働同一賃金を考える

3月11日月曜日。今日は、同一労働同一賃金に関連する判決記事について書きたいと思います。

※毎日新聞より引用

「長年勤務の契約社員の退職金格差は違法」 東京メトロ子会社に賠償命令 東京高裁
2/20(水) 20:24配信 毎日新聞
 東京メトロの売店で働く契約社員ら4人が正社員待遇格差があるのは不当だとして、手当の差額など約5000万円の支払いを東京メトロ子会社「メトロコマース」(東京都)に求めた訴訟の控訴審判決が20日、東京高裁であった。川神裕裁判長は、請求の大半を棄却した1審判決を変更し、原告2人への未払い退職金の格差などが違法だと認め、同社に計約220万円の賠償を命じた。

 弁護団によると、同種訴訟で退職金の格差を違法とする司法判断は初めて。

 判決は、契約社員1人と元契約社員3人の退職金などの格差を、労働契約法20条が禁じる「不合理な格差」に当たるかどうかを個別に検討。退職金に関しては元契約社員2人が10年前後勤務した点を重視し「長年の勤務に対する功労報償の性格を有する退職金すら一切支給しないことは不合理」と述べ、正社員と同様に算定した額の少なくとも25%は支払われるべきだとした。

 判決は、原告4人のうち1人は同法20条の施行前に退職したとして全面的に請求を退けた。その上で3人について検討し、住宅手当がない▽勤続10年の正社員には支給される褒賞が支給されない▽1人(契約社員)の早出残業手当が正社員と割増率が異なる――ことも「違法な格差」と判断。一方、本給と賞与の是正は退けた。

 2017年の1審・東京地裁判決は、1人の早出残業手当の格差のみを不合理とし、差額約4100円の支払いを命じていた。

 コマース社は「(判決の)詳細が分からないのでコメントは差し控える」としている。【服部陽】

※引用終わり。

今回の判決は、同一労働同一賃金に関する最高裁の判決であるハマキョウレックス事件・長澤運輸事件に準じた判決であると思います。今後は、同一労働同一賃金に関する訴訟は、今回の記事に似たような判決が続くと私は思います。

法解釈は大学教授および弁護士の先生にお任せして、社労士である私は、今回の判決をもとに経営者・人事担当者として、「今後どうするか?」について書きたいと思います。

同一労働同一賃金か否か?は、ハマキョウレックス事件・長澤運輸事件の最高裁判決・今回の判決を含め、

業務の内容・責任の程度 (二つ合わせて「職務の内容」)
職務の内容(業務の内容・責任の程度)及び配置変更の範囲
その他の事情

を常に考慮して、不合理か否か?で判断されています。いわゆる労働契約法第20条(改正後は、パートタイム・有期雇用労働法第8条)を根拠にしています。

今後は、下記のような段階を踏んだ対処が必要だと思います。

1 現状把握
・雇用形態の把握:正社員・契約社員・パートタイマー等の内訳、人数等の現状把握
・正社員・契約社員・パートタイマー等の、①職務内容②配置変更範囲(転勤・配置転換の有無)③その他の事情現状把握・職務分析を行う。
基本給及び各手当、福利厚生等の現状把握
・各手当の定義、手当が支払われている雇用形態(正社員のみなのか?契約社員・パートタイマーにも支払われているか?等)を確認。
基本給の決定方法を確認。

2 雇用形態の見直し
・現状を把握したうえで、雇用形態の見直しを行う。
(対処法の例)
・正社員を、総合正社員・一般正社員・短時間正社員・地域限定正社員等に分ける。
・パートタイマーを、総合パートタイマー・一般パートタイマーに分ける。

3 賃金制度の見直し
雇用形態の見直し後、雇用形態に合わせて、同一労働合一賃金に適応した基本給・手当の種類手当の定義福利厚生を見直す。
(対処法の例)
精勤手当、通勤手当、食事手当を支払う場合は、契約社員・パートタイマーにも支払う。
・正社員と契約社員、パートタイマー間で、業務の内容・責任程度の差が無い場合は、1時間当たりの労働単価同じにする。
・住宅手当:転勤がある正社員、契約社員、パートタイマーに支給。

4 就業規則・労働契約書の見直し
雇用形態・賃金制度の見直しをしたうえで、就業規則、賃金規定、労働契約書の見直しを行う。

以上のような対処が必要だと思います。今後、同一労働同一賃金を含む働き方改革への対応は、私を含む社会保険労務士に相談していただければ幸いです。


※写真は今日の夕食で、マグロのカルパッチョ・鶏の塩麴焼きです。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。









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