2018年12月29日土曜日

12月29日 ワタミが「今やホワイト」 離職率の低下に驚きの声という記事から、労務管理を考える

福岡・久留米のぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用と労務管理の町医者 吉野正人です。

12月29日 ワタミが「今やホワイト」 離職率の低下に驚きの声という記事から、労務管理を考える

12月29日土曜日。昨日、仕事納めの企業も多かったかもしれませんが、ワタミに関する気になる記事がありました。

※J-CASTニュースより引用

ワタミが「今やホワイト」 離職率の低下に驚きの声
12/27(木) 7:00配信 J-CASTニュース
 「ブラック企業」の代名詞といわれたワタミに異変が起きている。
 同社が進める「働き方改革」による成果か、離職率は業界平均の半分以下まで低下。「今やホワイト企業になってる」と指摘する専門家も出ている。

■「人間、変わろうと思えばいつでも変われる」
 「ウソみたいだろ...昔私が痛烈に批判してたワタミは、今やホワイト企業になってるんだぜ...」――。ブラック企業の実態に詳しい新田龍氏が2018年12月21日、こんなツイートをした。

 新田氏は、ワタミがブラック化した理由を解説した著書『ワタミの失敗』があり、同社の「新卒採用プロジェクトアドバイザー」を務めた経験がある。

 投稿では、ワタミが推し進める「働き方改革」の成果が紹介されている。2015年は21.6%だった離職率が、15.8%(16年)、8.7%(17年)と年々減少しており、飲食サービス業の平均離職率30.0%(17年度雇用動向調査より)を大きく下回った。

 労働環境が問題視されて「ブラック企業大賞」に選ばれた2013年の3年以内離職率は42.8%だった。

 ツイートは注目を集め、ITコンサルタントの永江一石さんは「人間、変わろうと思えばいつでも変われる!」、『ビリギャル』の著者である坪田信貴さんは「改善したこともちゃんとニュースにしたいですね」と反応している。

並行して「脱ワタミ」も加速化
 ワタミでは、離職率の高さなどから13年7月に外部有識者による「業務改革検討委員会」を設置した。委員会からは(1)長時間労働が存在(2)所定の休憩時間が取得できない(3)有給休暇を希望どおり取得できない――と指摘され、以降「働き方改革」を進めている。

 新設した「業務改善委員会」「労務戦略課」を中心に、社員の労働時間の管理相談窓口の設置会社・上司への評価制度営業時間の短縮などを打ち出し、職場環境の改善に取り組む。16年5月には、同社初となる労働組合も設立した。

 改革の成果が数字となって表れたのか、18年上期の平均公休日数は8.5日(15年上期は7.6日)、平均残業時間は30時間(同35時間)となっている(19年3月期中間決算資料より)。

 ワタミに改革の手ごたえを聞くべく広報担当者に取材を申し込むと、「粛々と改革を進めている段階ですので...」として現時点ではまだ答えられないとした。

 同社では業務改善と並行して、主力居酒屋ブランド「わたみん家」「和民」の業態転換も加速化させている。今後は新業態「ミライザカ」「三代目 鳥メロ」を拡大する計画だ。

 「脱ブラック」「脱ワタミ」の2本の矢で、失墜したブランドイメージの回復を狙う。

※引用終わり。

ワタミというと、従業員の過労死における裁判で、平成27年(2015年)に下記の条件で和解しました。
・約1億3000万円の懲罰的慰謝料
・全従業員に対する過重労働再発防止策を制定
・謝罪文のウェブサイト掲載

その後、創業者である渡邉美樹氏の言動は「相変わらず」であり、訴訟後もそのまま国会議員として在職している点で不信を感じていたため、私は正直ワタミという会社自体「改善されていない」と思っていました。

記事を読んで、正直「信じられない」というのが私の本音であり、疑心暗鬼です。しかし記事を深く読んでいくと、過労死訴訟後において、労務管理の杜撰さ過重労働だけではなく、それに伴う雇用・採用の問題、雇用後の定着率の問題も大きく影響していたのでは?と思いました。

訴訟前後の会社業績を調べてみると下記の通りでした。
・2013年3月 売上高157,765百万円 営業利益9,259百万円 当期純利益3,540百万円
・2014年3月 売上高163,155百万円 営業利益2,946百万円 当期純利益‐4,912百万円
・2015年3月 売上高155,310百万円 営業利益‐2,072百万円 当期純利益‐12,857百万円
・2016年3月 売上高128,246百万円 営業利益‐290百万円 当期純利益7,810百万円
・2017年3月 売上高100,312百万円 営業利益182百万円 当期純利益‐1,833百万円
・2018年3月 売上高96,458百万円 営業利益1,636百万円 当期純利益150百万円

以上の会社業績推移をみると、過労死訴訟における創業者渡邉美樹氏、・経営者・会社としての言動・行動が、業績に悪く影響しているのでは?と私は思ってしまいます。なお2016年3月期の当期純利益が7,810百万円と黒字なのは、介護事業の売却が主な要因では?と推測します。

ワタミの過労死における訴訟や過去の労働トラブル等は、結果的に本業の売り上げだけでなく採用・雇用にも大きく影響したのでは?と推測します。そのせいか記事によると、社員の労働時間の管理相談窓口の設置、会社・上司への評価制度営業時間の短縮職場環境の改善に取り組み、UAゼンセン系の労働組合が設立しているようです。

記事によると労務監理の改善が、採用後の定着率改善につながってるようです。やはり労務管理が杜撰だと、本業の売上・利益だけでなく、人材の確保・定着に大きく影響することを学んだと思われます。ある意味、昔の「悪い」ワタミから脱却しようと改善行動中と推測します。ワタミにとっては、高い授業料でしたが、企業として失敗後の改善が重要であると改めて実感した事例でした。

なお私自身、ワタミの店には、渡邉美樹氏の言動及び過労死訴訟の対応等で、店の利用を敬遠していましたが、「実際はどうなのか?」「現場で、どのように改善されているのか?」を肌で感じるべく、今後ワタミの店舗を利用してみたいと思います。


※写真は先日の夕食で、ナシゴレン・さつま揚げ等です。

以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士(主に会社側の視点で、労使間の建設的な信頼関係構築を目指し、企業の継続・繁栄のお手伝いをする、ぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。

※お問い合わせや相談したい時は、いつでも下記へ連絡願います。 福岡 久留米 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 社会保険労務士 吉野正人 移動オフィス 090-2852-9529 (すぐつながります。)
メールアドレス naitya2000@gmail.com

ただし労働者側の相談も可能ですが、当事務所は会社側の相談が得意ですので、ご了承願います。 なお労働者の相談は、下記リンクの社会保険労務士をオススメします。










0 件のコメント:

コメントを投稿