2015年8月27日木曜日

8月27日 パワハラ訴訟:社保労務士組合に賠償命令 防止策取らずから学ぶ

福岡・久留米ぶっちゃけ社労士会社側の立場でぶっちゃけた相談ができる社労士)こと 採用と労務管理、労働トラブル対応の町医者 吉野正人です。

今日は、社労士として恥ずかしく・情けない記事について書きたいと思います。今回は、2紙を比較の意味で引用します。

パワハラ訴訟:社保労務士組合に賠償命令 防止策取らずから学ぶ


※毎日新聞より引用
パワハラ訴訟:社保労務士組合に賠償命令 防止策取らず
毎日新聞 2015年08月26日 22時59分

 社会保険労務士らの事務組合「神奈川SR経営労務センター」(横浜市)がパワーハラスメントの再発防止を怠ったことで精神的苦痛を受けたとして、40代の女性職員がセンターなどに賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、請求を棄却した1審・横浜地裁判決を取り消し、請求通り計330万円の支払いを命じた。杉原則彦裁判長は「専門分野であるはずの労務管理上の対応を誤った。責任は重大で違法」と批判した。

 判決によると、女性は2008年からセンターの事務職員として勤務。11年7月、上司からしつこく退職を勧められたとしてセンターなどを提訴し、12年11月にパワハラの再発防止に努めることなどを条件に和解した。しかし、その後も女性は役員から「過去はどうでもいいじゃない」と言われ、公の場で「女性がワーワー騒ぎ職場の秩序が失われていく」と発言されたため、改めて提訴した。

 高裁は役員の態度について「和解条項に反し不誠実。女性は職場で孤立し、休業を余儀なくされた」と認定した。判決後に記者会見した女性は「社会保険労務士の団体なのだから労務管理を適切にしてほしい」と述べた。

 センターは「判決文を見ていないのでコメントできない」としている。【島田信幸】


※産経新聞より引用

社会保険労務士なのに! パワハラで和解→職場環境改善されず 部下が逆転勝訴

産経新聞2015.8.26 18:36
 社会保険労務士らがつくる労働保険事務組合「神奈川SR経営労務センター」(横浜市)で勤務していた40代の事務職の女性=東京都=が、上司らからのパワーハラスメント被害を訴えた別訴訟で和解した後も職場環境が改善されなかったとして、センター側に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、女性敗訴の一審横浜地裁判決を取り消し、請求通り330万円の賠償を命じた。

 女性は別訴訟で平成24年11月、センター側が70万円を支払い、再発防止に努めるなどの内容で和解。センター側は金を支払ったが、今回の訴訟は他の和解内容を守ったかが争点だった。

 一審はセンター側が和解を守らなかったとまでは認められないと判断。一方、高裁の杉原則彦裁判長は、当時の役員が女性に「過去はどうでもいいじゃないですか」と発言したことなどを挙げ不誠実な態度を取り続けたと認定。「社会保険労務士なのに、労務管理の対応を誤った役員らの責任は重大」と指摘した。

※引用終わり。

今回、記事になっている「神奈川SR経営労務センター」は、いわゆる労働保険事務組合を持ってない開業社労士さんの為に各都道府県に設立している通称「SR」と呼ばれる労働保険事務組合です。

この事務組合は、社会保険労務士が理事長・理事等の幹部に交代でなるのが一般的で、事務員は常勤の労働者だと思われます。社労士事務所というよりは、いわゆる労働保険の年度更新や労働保険料等が手続きが主な労働保険事務組合事務所だと思われます。

今回の記事を読むと、2012年に執拗な退職勧奨・パワハラをめぐり和解した後に、パワハラなどが改善されず、再度「パワーハラスメントの再発防止を怠ったことで精神的苦痛を受けた」として裁判ざたになってしまったと思われます。。。正直、労務管理のプロであるはずの社労士が介在する事務組合で裁判ざたになった挙句、新聞沙汰になっているのは正直悲しいです。。。

ただ、今回の記事を2紙読んで思ったのは、「会社側の立場」から見ると、労働者である女性も全く「問題が無い」と言う訳では無いように思いました。いわゆる「問題社員」である可能性はあると冷静に見て私は思いました。

しかし、今回の記事から問題社員であったならば、なおさら社労士としての対応を誤ってしまったと私は思います。執拗な退職勧奨は、下関商業高校事件(最一小判昭55.7.10 労判345-20判例)で「執拗で、繰り返し行われる半強制的な退職の勧め(退職勧奨、いわゆる肩たたき)は違法となる。」と有名な判例があり、社労士ならば知っていると思います。

特に残念なのは、和解後の対応を誤ってしまったことです。確かに、今回の女性労働者は、「女性がワーワー騒ぎ職場の秩序が失われていく」と幹部社労士が発言している自体、女性労働者の対応に非常に苦労していたと思われます。

しかし裁判所は、和解後の幹部社労士による言動を「改善されていない」と認定されてしまいました。再度裁判沙汰になる前に、社労士ならば「労使間で話し合う」余地は作れたと思われます。そして、仮に「問題社員」ならば、改善すべく計画を作り、教育指導をすべきだったと思われます。

ある意味「人間は感情の生き物」であり、「辞めさせたい」と言う感情は持ってしまうのは否定できません。。。しかし社労士として問題社員への教育による労務管理改善は必然だと思われます。また、事務組合側は、女性労働者への教育を含む労務管理改善等の書面証拠が不十分だったのではないか?と推測します。口頭注意・口頭指導では裁判の証拠では、弱いです。。。

私自身、会社側の立場の社労士としてこの記事を読んで、非常にくやしいです。。。今後の反面教師にしたいと思います。




写真は今日の夕食で、鶏の唐揚げ・かぼちゃのお焼き・かぼちゃの煮物・高野豆腐です。


以上、福岡・久留米ぶっちゃけ社労士会社側の立場でぶっちゃけた相談ができる社労士)こと採用・労務管理・労働トラブル対応の町医者 吉野でした。


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